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言語聴覚士学生が2か月の臨床実習で心掛けること




 1.実習の意義と目的1. 実習の本質


臨床実習は「知識の確認」ではなく「臨床推論を体得する学びの場」です。


教科書の理解を「現実の患者・利用者の生活」と結びつけ、考える力・感じ取る力・伝える力を磨きます。


2. 目的の三本柱


目的


①求められる行動例 学ぶ姿勢 専門職としての基本姿勢の確立 あいさつ・報告・敬語・清潔感・時間厳守


②臨床能力 評価・訓練・記録・報告の基礎技能 仮説を立て、根拠ある介入を行う 


③倫理観 利用者の尊厳・権利の尊重 守秘義務・発言への配慮・感謝の言葉 


3.日々の行動で意識すべき10のキーワード


・:動作・表情・言葉の「小さな変化」を見逃さない


・ :事実と解釈を区別し、客観的に書く


・ :「なぜこの検査か」「なぜこの発話か」を考える


・ :検査・訓練の選択理由を説明できる


・ :利用者にもチームにも「伝わる言葉」を使う


・ :早く・正確に・簡潔に


・ :遅刻・忘れ物ゼロ。1日の予定を自分で設計する


・ :「できた」「できなかった」を毎日振り返る


・ :実習は「協力のうえに成り立つ」ことを忘れない


・ :失敗を「改善の素材」として捉える


4.臨床思考を育てるステップ


Step1:観察


 利用者の行動・発話・表情・反応・環境を丁寧に見る


「気づきメモ」を1日3つ以上書くStep2:仮説立案


「なぜこの症状が出ているのか?」を考える


 例:構音の歪み→舌運動?聴覚的フィードバック?心理的要因?Step3:検証


 検査・訓練を通して仮説を確認する


 結果が違えば新たな仮説を立てるStep4:統合


 機能・活動・参加(ICFの3レベル)を意識して支援方針を考える



 5.知識と技術の統合


領域 実習で求められる学びの視点


言語発達 発達段階と生活環境の関連を捉える


構音・音声 検査の手順・分析・訓練計画を説明できる


嚥下 安全な観察とポジショニングを理解する


高次脳機能 行動の意味を神経心理学的に考察する


聴覚 補聴・読話・環境調整の基本を理解する


6..チーム医療における立ち位置


 STは「ことば」と「食べる」だけでなく、。


他職種(PT・OT・Ns・Dr・SW)と協働し、を大切にする。


「私たちはどのようにこの方を支えるか?」というを持つ。


 7.倫理とマナーの徹底


・守秘義務


情報漏えいを防ぐ


症例報告では個人を特定できる情報を削除


SNS利用


医療機関・患者情報を投稿しない


実習中はSNS投稿を控える


・敬語・言葉遣い


敬意を持って話す


「〜さん」「〜先生」と呼称する


・身だしなみ


清潔・簡素・整った服装


香水や派手な髪型は避ける


8.日々の学び方


   朝:前日の振り返り・当日の目標設定


   昼:実施内容の簡単なメモ(客観的記述)


   夕:1日のまとめ・疑問点整理


   夜:教科書・文献で理論確認(20〜30分でもよい)



「観察→仮説→実行→振り返り」を毎日回すことで、臨床家としての思考が育つ。


9..実習終盤で意識すること(成長の見える化)


・観察


初期 指導者に言われて気づく


終盤 自分から報告できる


・検査


初期 見よう見まねで実施


終盤 根拠を説明しながら実施


・訓練


初期 指導者の模倣


終盤 患者反応を見て工夫できる


・記録


初期 事実の羅列


終盤 分析・考察が書ける


・態度


初期 受け身


終盤 主体的に提案・質問できる


10.失敗を恐れず、誠実に向き合う


 実習で「うまくできない」は当たり前。


 指導者は「完璧さ」ではなく「誠実さ」と「成長過程」を見ている。


 大切なのは「できなかった理由を考え、次に活かす姿勢」。


11.言語聴覚士としての原点を忘れない



 STは、ことば・声・嚥下を通して「人の生き方」に関わる専門職。


 実習の2か月は、その入口に立つ大切な時間です。


 毎日の小さな気づきと感謝を積み重ねましょう。


まとめ:臨床実習の三原則



 誠実に向き合うこと


  根拠をもって考えること


  人としての成長を忘れないこと


 
 
 

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